プロップファームのDD3方式|EOD・Trailing・Staticの違いと失格ラインの計算
公開: 2026-10-23 / 更新: 2026-10-23
プロップファームで口座を落とす原因の多くは、エントリーの精度ではなくドローダウン(DD)方式の誤解です。 同じ「最大DD $2,000」でも、判定の取り方が方式によって別物になります。 この記事では、DD方式を3つに分類し、失格ラインの計算式と確認手順を整理します。
1. 結論:DD方式は3つ。自分の方式を知らないと利益が出ても落ちる
プロップファームのDDは、大きく次の3方式に分かれます。
- EOD型(日次確定型)…… その日の終値で判定する
- Trailing型(追従型)…… 残高の最高値に合わせて失格ラインが上がる
- Static型(固定型)…… 初期残高から固定。何をしても動かない
この3つは同じ数値でも意味がまったく違います。EOD型で「日中に$2,500の含み損を抱えたが引けで戻した」場合は違反になりませんが、 Trailing型では含み損がラインを割った時点で失格になることがあります。
まず方式を確認する。次に余力を計算する。順番を逆にすると落ちます。
2. 3方式の違いを1枚で
| 方式 | 判定の基準 | 含み損の扱い | 失格しやすい人 |
|---|---|---|---|
| EOD型 | 各営業日の終値 | 原則カウントしない | 含み損を翌日に持ち越す人 |
| Trailing型 | 残高の最高値 | カウントする(業者による) | 利益を伸ばした後に反落する人 |
| Static型 | 初期残高から固定 | 業者による | 特にいない(最も分かりやすい) |
厳しさの順は、一般にStatic → EOD → Trailingです。Trailing型が最も厳しく、Static型が最も緩い。同じ「$2,000」でも難易度が変わります。
3. EOD型|日中は守られ、引けで決まる
EOD(End of Day)型は、その日の終値ベースで残高を確定し、 それに対してDD違反かどうかを判定します。
最大の特徴は「日中の含み損が原則として判定に含まれない」点です。 エントリー後に逆行して含み損を抱えても、引けまでに戻して終値がライン上にあれば違反になりません。これはEOD型の最大の利点です。
ただし、翌日に持ち越した含み損は確定損益になり、翌日の判定に反映されます。 「日中はセーフ」が「翌日もセーフ」を意味しない点に注意してください。
EOD型で確認すべき2点
- 判定時刻:その日のクローズは何時か(市場ごとに異なる)
- 日中の最大DDも別枠で縛られていないか(EOD型でも当日最大DDの上限がある業者がある)
4. Trailing型|利益を伸ばすほど、許容幅が狭くなる
Trailing型は、失格ラインが残高の最高値に合わせて切り上がる方式です。 ここが最大の罠です。
具体例で見る挙動
初期残高 $50,000、最大DD $2,000 の Trailing型を考えます(数値は説明用の例です)。
| 局面 | 残高 | 失格ライン | 現在の余力 |
|---|---|---|---|
| 開始時 | $50,000 | $48,000 | $2,000 |
| +$2,000達成 | $52,000 | $50,000 | $2,000(維持) |
| +$4,000達成 | $54,000 | $52,000 | $2,000(維持) |
余力の幅自体は $2,000 のままです。しかし一度でも高値から $2,000 下がると、その時点で失格になります。「利益を出してから一気に落ちる」のは、この挙動が理由です。
ラインが停止するタイプと、永久に追従するタイプ
Trailing型には2種類あります。ここは業者ごとに仕様が分かれるため、必ず確認してください。
- 停止型…… 残高が初期残高(または初期残高+一定額)に達した時点でラインの切り上がりが止まる
- 永久追従型…… 残高の最高値に追随し続ける。上限なし
停止型か永久追従型かで、合格後の運用難度が大きく変わります。「どこで止まるのか」が最重要の確認項目です。
含み益でラインが上がるかどうか
未決済の含み益で最高値を更新した場合、その時点でラインが切り上がる業者があります。 含み益は消えても、切り上がったラインは戻りません。含み益を抱えたままの状態が、最も危険です。
5. Static型|初期残高から動かない
Static型は、失格ラインが初期残高から固定されます。 利益が乗っても、含み益が出ても、ラインは動きません。
- 計算が最も簡単で、事前に余力を確定できる
- 利益が乗るほど、実質的な余力が増えていく
- 長期の運用でもラインが動かないため、計画が立てやすい
欠点は採用している業者がTrailing型より少ないことです。 方式だけで業者を選ぶと選択肢が狭くなるため、方式と価格・ルールのバランスで判断してください。
6. 自分で計算する式
ここからは方式ごとの計算式です。電卓と公式ヘルプの数値だけで算出できます。
共通の考え方
まず「失格ライン」を求め、次に「現在の判定値」との差を取ります。この差が余力です。
余力 = 現在の判定値 − 失格ライン
(余力が 0 以下になった時点で失格)
EOD型・Static型のライン
失格ライン = 初期残高 − 最大DD額
例:初期残高 $50,000 / 最大DD $2,000
失格ライン = 50,000 − 2,000 = $48,000
Trailing型のライン
失格ライン = max(初期残高, 到達した残高の最高値)− 最大DD額
例:最高値が $54,000 まで到達した場合
失格ライン = 54,000 − 2,000 = $52,000
※ラインが「初期残高で停止する」業者の場合は、
初期残高を上限として頭打ちにする
連敗の許容回数を出す
余力が分かったら、1トレードあたりのリスクで割ります。これが「何連敗まで耐えられるか」です。
連敗許容回数 = 余力 ÷ 1トレードのリスク額
例:余力 $2,000 / 1トレード $300 のリスク
2,000 ÷ 300 = 約6.6 → 単純計算で6連敗まで
ただし、日次の損失上限がある場合は、少ない方の条件に縛られます。最大DDだけを見てリスクを決めると、日次上限で失格します。
この計算を毎回手でやるのは現実的ではないので、実際には表計算かツールで管理することになります。 方式別の失格ラインや余力を自動計算するシートはプロップのDD管理をExcelで自動化するテンプレートで配布しています。また、運用で使うツールの選び方は別の記事で整理しています。
7. 自分の業者がどの方式か確認する方法
方式は業者の公式ヘルプに書かれています。確認する項目は4つです。
① 判定の基準は何か
「End of Day」「Trailing」「Static」のどの表現が使われているかを探します。 ヘルプ内を「drawdown」「daily loss」「maximum loss」で検索すると早いです。
② 含み損を含むか
未決済の損失が判定に含まれるかどうかです。ここが最も差が出る項目です。
③ Trailingのラインはどこで止まるか
停止型か永久追従型か、含み益でもラインが上がるかを確認します。
④ 評価と実弾で同じか
評価口座と実弾口座で方式が変わる業者があります。次章で扱います。
確認した内容はメモに残してください。規約は改定されることがあるため、契約時と運用開始時に再確認するのが安全です。
8. 評価と実弾で方式が変わるケース
見落としやすいのが、評価口座と実弾口座でDD方式が変わる業者です。
- 評価はEOD型、実弾はTrailing型
- 評価はTrailing型、実弾はEOD型
- 実弾でDD幅そのものが変わる
評価を通過したときの感覚のまま実弾に入ると、思わぬところでラインに触れます。「合格後にどう変わるか」まで含めて、事前に確認してください。
なお、実弾では利益が積み上がるため、Trailing型の挙動が評価時より目立ちます。 ラインが切り上がっていることに気づかずに建て増しすると、反落時に一気に失格します。
9. まとめ
DD方式は3つ。方式を確認しないまま取引を始めるのが、最も危険です。
- EOD型:引けで判定。日中の含み損は原則セーフ。翌日持ち越しは確定する
- Trailing型:最高値に追従。利益を出した後の反落が最も危険
- Static型:初期残高から固定。最も計算しやすく、採用業者は少ない
方式を確認する → 失格ラインを計算する → 1トレードのリスクを決める。
順番を守れば、失格の多くは事前に防げます。エントリー精度より先に、この3ステップを固めてください。
ツール側の準備がまだの場合は、Quantowerをプロップファームで使う方法で、ライセンスの選び方と設定手順をまとめています。DDを管理する画面の作り方から始めると進めやすいです。
出典・確認日
DD方式の分類・計算式: 一般的な用語整理(2026年10月23日時点)
各社の具体的な数値・判定ルール: 各プロップファーム公式ヘルプ(各社で定義が異なります)
本記事の情報は執筆時点のものです。価格・仕様・規約は変更される場合があります。 契約前に必ず各社公式サイトで最新情報をご確認ください。